過バライ金請求の時効は20年?完済から返還の流れ




最近、テレビで法律事務所のCMをよく目にすることはないでしょうか?そのCMのどれもが、「過バライ金返還請求」に関する内容となっています。
「なぜここ1~2年で、急に過バライ金返還請求に関するCMが多くなったんだろう?」と疑問に思った方も多いと思います。それは、過バライ金返還請求の時効が関係しているからです。そこで、過バライ金返還請求の完済から時効に関する基礎知識をご紹介します。時効が過ぎているからと言って、もう過バライ金は回収できないとは限らないため、しっかり知識を身に付けておきましょう。

①過バライ金返還請求には時効がある!?

消費者金融やクレジットカード会社からお金を借り、現在完済しているという人は多いと思いますが、その中で、「過バライ金の回収ができる場合がある」ということを、最近知ったという人は少なくないでしょう。
過バライ金返還請求には時効があり、その期間は10年と決まっています。では、時効の10年とはどの時点から数えて10年となるのでしょう?

1.過バライ金返還請求の時効はどこから?

過バライ金返還請求の時効に関しては、勘違いをしている人が多く本当は過バライ金を回収できたにも関わらず、勘違いのため時効になってしまったという事例が多くあります。
多くの人が勘違いしているのは、「過バライ金が発覚してから10年」というものです。
そもそも過バライ金とは、以前横行していた高利貸しなどでお金を借りた場合に、法律の範囲を超えた金利で返済していた場合に発生します。つまり、必要以上に払い過ぎていた利息分を指します。過バライ金が発覚してから10年ということは、利息は初回の返済から加算されていますから、初回の返済日または借入日ということになります。
しかしこの時効は間違いであり、本当の時効は「借金を完済した日から10年」となります。特に、長期にわたり返済をしていた人の場合、借入日や初回返済日が10年以上前ということもあり得ます。ですが、完済した日が現在から10年以内であれば、過バライ金返還請求が可能で回収できる確率も高くなります。

2.完済から10年が過ぎたか過バライ金は回収できない?

では、完済から10年が過ぎていた場合には、過バライ金回収は0%となってしまうのでしょうか?
過バライ金返還請求の時効は完済から10年が原則となっているため、時効を過ぎてしまうと過バライ金回収の可能性は低くなるのは確かです。しかし、絶対にできないというわけではなく、場合によっては回収が可能となることもあります。

3.なぜ過バライ金の時効開始を完済日とするのか?

多くの人が勘違いしているように、なぜ過バライ金の時効開始は、「過バライ金が発生した日」からではなく「借金を完済した日」からになっているのでしょう?これには、「過バライ金の充当合意」が大きく関係しているからです。
充当合意とは、取引の最中に過バライ金の発生が明らかになった場合、その後の貸付けに過バライ金を充てることを貸金業者と合意することです。とはいうものの、実際に合意を求めても貸金業者が応じるわけがないため、通常は貸金業者と充当合意を結ぶ必要はなく、過バライ金が発生した時点で次回の取引時に相殺することができるようになります。
ただし、過バライ金の充当合意は貸借の当事者の意思解釈のもので妥当・不当が判断されるため、ケースによっては充当合意が認められないこともあります。
取引中に完済と再契約があった場合で充当合意が認められると、2つの取引が1つのみなされ一連計算されます。そのため、最初の過バライ金の時効が過ぎていても、再取引の借入元本の弁済として、最初の過バライ金を時効前に使用することができます。

4.一連取引と個別取引の判断はどう決まる?

一度借金を完済し、再び同じ貸金業者と取引を行い現在も返済中であれば、一連取引とみなされ過バライ金が回収できる時効は再取引の完済日となります。一方、取引を行った貸金業者との契約を解除した後に、再び同業者と契約を結んで取引を再開した場合や、2つの取引との期間が長期にわたって空いてしまっている場合には、個別取引とみなされるケースがあります。
実は、一連取引か個別取引かの判断は、法律によって明確に規定されているわけではないのです。そのため、貸金業者によっては2つの取引の間の期間が1年近く空いていた場合には、「このケースは個別取引だ」と強調してくる場合が考えられます。
取引が連続・分断のどちらに該当するかのチェックポイントをいくつか挙げているので、ここで紹介します。

・複数の取引が最初の取引時の基本契約に基づくものであるか?

・前後の取引の間が長期にわたっているか?

・借入時の契約条件や形態の異同

・前後取引との期間中におけるカード失効手続きの有無(クレジットカード・カードローンなど)

このような点から取引の連続・分断が判断され、過バライ金の時効も判断されます。
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②時効でも過バライ金回収の可能性があるケース

同じ消費者金融業者を何度か利用している場合では、過バライ金返還請求の時効が過ぎても回収できる場合があります。では、実際どのようなケースがあるのでしょうか?

1.過バライ金の時効が過ぎても回収できるケース

例えば、消費者金融業者Aから借入を行い、その後、借金を完済したとします。この完済日から時効の10年以内に再びA業者から借入を行い、現在も借金を返済中であったとします。
この場合、最初の取引で完済していますが、2回目の取引が継続中となっているため、「2つの取引が継続されている」とみなされる可能性があります。つまり、過バライ金回収が可能な時効は、現在継続中の借金を完済した日から10年といういことになります。従って、2回目の完済日から時効の10年以内に過バライ金返還請求を行えば、回収することも可能となります。

過バライ金時効の起算点となるのは?

過バライ金時効の起算点となるのは完済日であるため、同業者から再契約をして現在も返済中の場合、再契約の完済日が時効の始まりとなるわけです。
しかし、これはあくまでも2つの取引の間に空白期間が無く、更に最初の借金を完済した際に基本契約を解除していない場合に限ります。そのため、2つの取引が直近で行われていなかったり、基本契約を解除してしまっていると時効が過ぎたことになる可能性があります。
特に多重債務者の場合、借入日と完済日が入り混じっており、過バライ金の時効決定も複雑になっています。このようなときは、過バライ金の専門の法律事務所に相談することで、正しい過バライ金の時効が分かり、場合によっては回収も可能となります。

2.過バライ金の時効には特例措置がある

貸金業における利息の法律は、ここ10年で大きく変化しました。特に、利息の上限を法律で定めたことで、それまで長きにわたって見過ごされてきたグレーゾーン金利(法律では違法であるが処罰対象となっていなかった金利の範囲)が廃止されました。
最近、テレビで頻繁に過バライ金の時効に関するCMを目にするのは、10年前に貸金業に関する法改正がなされ、金利に上限が設けられたほか、過バライ金の時効が完済日から10年と制定されたことが関係しています。つまり、時効の10年が迫っている人がいることから、法律事務所が呼びかけているのです。
法改正がなされる以前はというと、高利貸しが横行していたほか、違法な取り立てもいたるところで行われていました。特に、異常なほどの取り立てを受けた債務者には、法律によって過バライ金の時効に特例が設けられています。
過バライ金の時効に関する特例とは、貸金業者からの返済請求が故意に行われた不法行為である場合に、「3年の猶予」が与えられます。
過バライ金の時効の10年が間近に迫っている場合、以前に違法な取り立てを受けていた場合には「不当利得返還請求」を行い裁判所が不当行為と判断することで、過バライ金の時効を完済日の10年から「不当行為による損害を知った日・加害者を知った日から3年」に変わります。
例えば、完済日から10年が過ぎてしまったが、半年前に自分が過バライになっていることを知り、なおかつ不法行為も受けていた場合、損害を知ったのは半年前ということになるので、過バライ金の時効は半年前から3年に変わる可能性が高くなるため、過バライ金も回収できる確率が高くなります。

③過バライ金の計算方法について

過バライ金の時効を知らず完済日から10年の時効が過ぎてしまった場合、その過バライ金を回収することは難しくても、現在返済中の借金に相殺することができる場合もあるため、一概に諦めるのは早いです。
ここでは、過バライ金の計算方法を知り、時効が過ぎてしまった過バライ金を、現在の借金返済に充当・相殺できるケースを見ていきましょう。

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1.無利息計算方式と利息充当方式

過バライ金を計算する上では、貸付元本にかかる利息同様に過バライ金元本にも利息がかかります。過バライ金元本に対する利息は年5%となっており、過バライ金発生時から回収日までの期間に利息がかかることになります。過バライ金を計算する際、過バライ金利息をプラスする計算方式(利息充当方式)を選択するか、過バライ金利息をプラスしない計算方式(無利息方式)を選択するかによって、回収できる過バライ金の額が大きく変わってきます。

2.過バライ金の計算例

例えば、100万円の過バライ金と100万円の借金が、1年間同時に存在している状態だとします。その場合、1年後の過バライ金の額は過バライ金利息の5%がプラスされるため、合計で105万円となります。
過バライ金は不当利息返還債務に該当し、貸金業者が悪意を持って行っていたとするならば、法定利率に基づく金利で返還する必要があります。
法定利率は、利息制限法に基づき借入元本が100万円以上の場合は年15%と定められています。従って、借金100万円には15%の法定利率がプラスされるため、合計で115万円となります。
・過バライ金を充当計算した場合:充当合意がなされ、100万円の過バライ金と100万円の借金が同時に存在していることが発覚した時点で、過バライ金が元本に組み込まれます。これにより、過バライ金と借金が無くなります。
・過バライ金の時効が過ぎても相殺できた場合:115万円の借金に対して105万円の過バライ金を相殺した場合、105万円分の借金はなくなっても10万円の借金は残ってしまうことになります。
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3.時効が過ぎた場合の相殺では裁判になる!?

時効が過ぎてしまい回収が難しい状況でも、以前に同じ貸金業者と取引をしている場合には、たとえ取引の分断があったとしても相殺したい旨を主張することで、相殺させることができる場合があります。相殺が可能となれば、時効が過ぎてしまって過バライ金回収ができないほか、今の借金も減らないと落ち込まずに済みます。
時効を過ぎた後に相殺を主張するには、「裁判で相殺することを主張する」必要があります。しかし、裁判で主張すれば、時効が過ぎたいかなる場合でも相殺が認められるわけではありません。
実際に最高裁で行われた、時効消滅した過バライ金の相殺の裁判では、「相殺を認めるに至る基準に達していない」という理由で、相殺を認めないという判決が出ています。
◎最高裁の判例
・Aさんは、貸金業者Bとの間に平成8年~9年まで取引をして完済し、その後約20万円の過バライ金が発生していることが分かった。
・Aさんは、再び貸金業者Bと取引を行い、平成17年1月~22年まで継続していたが、平成22年7月に返済を延滞してしまった(期限の利益の喪失)ことで一括返済を余儀なくされた。
・平成22年8月にAさんは、貸金業者Bに時効消滅した最初の取引時の過バライ金約20万円を相殺し、残りの借金のみを一括返済した。
・これに対し、貸金業者Bは「過バライ金は時効後で消滅しているため、相殺は認められないので約20万円もきちんと返済するべきだ」と主張してきた。
という事例です。これに対し最高裁の判決は「過バライ金で相殺することはできない」としました。
最高裁の判決理由としては、平成22年7月に返済を延滞した時点では、過バライ金の時効で消滅しているため、相殺が適用される状況にないとして認められないと判断したのです。
このように、時効消滅した過バライ金の相殺を裁判で主張したとしても、債務者の取引事情によっては相殺が認められないケースもあるのです。

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