過バライ金返還請求は借金の中でも利息分、それも払い過ぎた利息の返還を求める手続きです。
ブラックリストに載ってしまうのでは?デメリットは?いろいろな疑問や不安が出てくるものですが、過バライ金と借金・ブラックリストの関係を知ることで理解も進みます。
目次
過バライ金デメリットとブラックリストの関係は?
まず、過バライ金の返還手続きによるデメリットを知る上で、ブラックリストとはどのようなものかを知る必要があります。
ブラックリストとは信用情報機関に借金を長期間にわたり借金を延滞している、あるいは借金が返済できずに任意整理や自己破産など債務整理をした場合に異動情報として載るのがブラックリストです。
債務整理ではブラックリストに載ることになりますが、基本的に過バライ金の返還請求では載ることはありません。
ただし、過バライ金請求の中でも残債がある場合は任意整理となり、ブラックリストに載ることがあります。
ブラックリストに載ることによるデメリットは?
ブラックリストというリスト自体は存在しません。
また、借金イコール、ブラックリストでもありません。
借金を契約の通りに返済できなかった記録がブラックリストであり、信用情報機関に登録されます。
借金などお金の貸し借りにおける契約や情報も、この信用情報機関を通して行われ、借金の延滞や債務整理などのブラックリストと言われる記録も登録されています。
この信用情報機関に掲載されているブラックリストを含めた登録情報を元に貸金業者やクレジット会社は審査を行い、審査の結果として融資やクレジットカードの発行を行っています。
それでは過バライ金返還請求の場合のデメリットはどのようなケースで起きるのか。
債務整理と同じように事故扱いのようにデメリットがあるとみられがちですが、実際はそうではありません。
過バライ金は契約者の落ち度、すなわち借金を延滞した訳ではなく、借金の中でも法定金利を超えた金利の返還を求める手続きです。
以前の貸金業者の対応は過バライ金の返還請求の手続きでブラックリストに載せるというデメリットがありました。
借金の整理と同じ扱いです。
現在は過バライ金の返還請求を行っても、ブラックリストに載るデメリットはありません。
金融庁が出した通達の中でも過バライ金の取り扱いとして「信用情報とは支払い能力に関する情報であり、過バライ金返還請求は無関係」との見解がなされました。
ブラックリストに載るということは一定期間、クレジットカードの発行やカードローンをはじめ、融資・ローンの一切が組むことができなくなるデメリットが生じます。
金融庁の通達が出されて以降、過バライ金返還請求を行ってもブラックリストに載ることはなく、以降もクレジットカードの発行やカードローンの審査にも影響が出るデメリットはありません。
ブラックリストに載ることで受けるデメリットの期間とは
ブラックリストの載ると5~7年、借金はできなくなるというデメリットがあります。
ブラックリストに載るとカードローンの利用はもちろん、クレジットカードの発行やローンなども組めなくなりますが、二度と借金できなくなるデメリットではありません。
ブラックリストの5~7年という数字は信用情報機関の借金が返済できなかった記録の登録期間です。
借金を契約通りに返済できなかったことによる信用の低下、それが信用情報機関に事実として載り、ブラックリストと呼ばれる異動情報として載せられるのです。
ブラックリストに5~7年と幅があるのは債務整理によって異なるためで、自己破産の場合は7年というデメリットがつく場合もあります。
その他、任意整理や特定調停などは基本的に5年間は借金できなくります。
どの債務整理でもブラックリストに入るデメリットは同じです。
こうしたブラックリストをはじめ信用情報機関の役割は借金の貸し倒れの防止にあります。
ブラックリストを通して貸金業者がこの人なら融資しても大丈夫であるとか、借金に関する客観的な判断を信用情報機関を通じて行っています。
貸金業法が改正されて以降は、総量規制により借金の上限が年収の3分の1以内と定められています。
他社で借金をしていないか、借金を延滞をしていないかなども信用情報機関ことブラックリストをみることで分かるようになっています。
ブラックリストを含め信用情報機関に載せられている借金などの情報は貸金業者だけでなく、契約者もみることができます。
しかし、ブラックリストなどのデメリット情報は利用者の誰もがみられる訳ではなく、本人確認の提示など情報の管理は厳格化されています。
まずブラックリストを含めて借金の事実が信用情報機関から外に洩れるというデメリットはありませんが、過バライ金の手続きの際に届く書類で他人に知られるリスクも出てきます。
自力で過バライ金返還請求は可能か?デメリットは?
自ら過バライ金返還請求の手続きは可能です。
ただし、難しいのが現状でデメリットは手続きの煩雑さと交渉です。
貸金業者やクレジットカード会社・信販会社など債権者は法律に長けていることもあり、また取引履歴の開示を渋られたり、開示まで時間が掛かることがあります。
裁判による解決となれば、さらに多大な時間と労力がかかりデメリットも大きくなります。
また、手続きに時間が掛かることで時効がきてしまうこともあり、時間的なデメリットも返還手続きを考える上で重要になります。
時間と労力を考えると自力返還請求のデメリットは大きい?
過バライ金の返還を求めるには借金と返済の記録である取引履歴を取り寄せ、履歴を元に過バライ金を計算し、債権者と交渉する流れになります。
まず、金融業者へ取引開示請求を行います。
これは取引履歴を精査して過去の借金を引き直す大事な情報です。
この時点で時間が掛かることもしばしばで、時間的なデメリットが出てきます。
そして、金融業者へ借金の中に含まれていた過バライ金の返還請求を行う。
電話やでの交渉が主になりますが、相手は少しでも過バライ金を少なくしようと抵抗してくる場合がありますので時間が掛かります。
また、交渉だけでは解決できない場合は裁判所にて過バライ金返還請求訴訟を提起します。
裁判で和解できる場合もあれば、できないケースもあり、和解が不成立の場合は再び裁判で争うことになり、さらに時間が掛かることになります。
金融会社によって過バライ金の和解成立の難易度は違い、大手の消費者金融は和解しやすい傾向もありますが、個々の契約内容に左右されますので一概には言えません。
こうした過バライ金返還請求までの流れと時間、労力は自力での返還請求を難しくしています。
加えて、自力での返還請求でデメリットになる点として貸金業者や裁判所とのやり取りで届く書類が自宅に届くという点です。
過バライ金の手続きであっても書類が自宅に届くことで家族に借金の存在を家族の知られるリスクも伴います。
金融会社との交渉は厳しい。返還請求は時間的なデメリットも
貸金業者の過バライ金の交渉窓口にたつ担当者は交渉のプロとも言えます。
司法書士や弁護士ならば温和な態度で柔軟に応じてくるケースも多いのですが、個人での請求は強気の姿勢で押してくるケースもしばしばです。
交渉の過程の中で本来ならば過バライ金の状態にあるにも関わらず、少ない金額で和解を提示することもあります。
あるいは過バライ金は発生していないという態度に出ることもあります。
取引履歴を元に借金の精査をしっかり行わないと、矛盾を突かれる場合もありますし、取引履歴自体がすべて出ているのかも問題となります。
取引履歴の請求は法律で決められ、開示請求があれば出すことが決まっているのですが、出し渋る金融会社も少なくありません。
また、金融会社も貸金業法の改正で廃業・倒産、経営統合、個人向け融資の廃止など業界を取り巻く状況が激変しています。
大手の消費者金融は銀行の傘下に入れたのですが、中小の金融会社は廃業・倒産も増えています。
そういうことになれば、過バライ金の返還請求の権利はあるものの、交渉先の会社がない、とれないという事態が起こり、デメリットは大きくなります。
過バライ金返還請求にかかる費用を抑えるために自力で行ったとしても、時間が掛かり過ぎて、結局、取れなかったというリスクも起きるため、その点も自力で行うことのデメリットです。
利用中と完済後では過バライ金返還請求のデメリットは違う
利用中で過バライ金返還請求を行う場合と、完済後では受けるデメリットや引いてはブラックリストに載る、載らないとも大きく関係してきます。また、利用中と完済後では過バライ金返還請求はどのように違ってくるのか、またブラックリストに載るケースなど借金の中身によっても異なります。
特に注意が必要なのがクレジットカードです。
クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があり、過バライ金の対象となるのはキャッシング分です。
ショッピング枠の残債次第でブラックリストとなるリスクもあります。
完済後の過バライ金返還請求のデメリットは?
過去にカードローンで借金をして完済し、その後、過バライ金があることが分かった場合に過バライ金返還請求を行うと完済後10年以内なら、返還請求が行えます。
注意する点は借金をしてから10年ではなく、最終に借金を完済した日から10年以内です。
例えば、借金の返済をしている中で過バライ金の返還請求を行った場合は、取引履歴を精査して過バライ金で借金がない場合はブラックリストに載ることはありません。
逆に過バライ金の返還請求で、なお借金が残った場合は任意整理という形になり、ブラックリストに載ることになります。
完済後で借金もない場合であれば、過バライ金の返還請求をしても、ブラックリストに載ることもなく、以降もカードローンやクレジットカードの契約も可能です。
こうした借金が残る・残らないかでブラックリストに載る・載らないの違いが生まれ、手続きで受けるデメリットも違ってきます。
ブラックリストの扱いはカードローンによる借金だけでなく、クレジットカードも同じです。
クレジットカードにはショッピング枠の他にキャッシング機能が付帯されていることも多いのですが、過バライ金の返還請求の対象となるのはキャッシング分で、このキャッシングの借金で発生した過バライ金でショッピング枠を完済した場合はブラックリストに載るというデメリットはありません。
カードローンとクレジットカードでは過バライ金の返還請求の事情も異なり、次に述べるようにブラックリストに載るケースもあります。
クレジットカードの過バライ金返還請求のデメリットは?
先ほどのようにクレジットカードではキャッシング枠が過バライ金の返還対象となり、ショッピング枠の借金次第ではブラックリストの載ることもあります。
一方でクレジットカードでもショッピング枠だけのカードもあります。
過バライ金の返還請求の対象ではなく、あくまでもキャッシング枠の借金を対象したものです。
先のケースはクレジットカードを利用中ということを前提にしていますが、クレジットカードのキャッシング枠を完済している場合で過バライ金の返還請求を行うと、どうなるのか。
この場合、クレジットカードが利用できなくなるデメリットがあります。
ブラックリストに載るのではないのですが、過バライ金の返還請求を行うということは会員としての契約を清算するということであり、以降、利用できないデメリットが生じます。
クレジットカードを今まで通り、利用したい場合は過バライ金の返還請求をせずに、そのままにしておいてもよく、過バライ金が想定よりも発生している場合は過バライ金の返還請求を行っても良いでしょう。
完済後でもカードローンによる借金の過バライ金の返還請求と、クレジットカードの中でも利用枠の違いや借金の完済、利用中ではまったく違ってきます。
過バライ金の返還請求でどれぐらい戻ってくるかで、デメリットの大きさを判断してみても良いかもしれません。
また、どのような状態でブラックリストになるのか確認すると良いでしょう。
キャッシング枠だけを清算しても、過バライ金の返還を求めたことで債務全体を整理するので、残債次第でブラックリストに入ることもあります。
過バライ金の返還請求を専門家に依頼した場合のデメリット
自分で行うなら費用は裁判費用など最小限に留めることも可能です。
ただし、時間が掛かりますし、大変な労力が伴うデメリットもあります。
その時間と労力を専門家である司法書士や弁護士に依頼した場合のデメリットに挙げられるのは費用です。
事務所によって違い、費用自体もいくつかの項目に分かれてきます。
費用面でもデメリットはありますが、過バライ金の正確な確定や時間の短縮で考えるとメリットです。
そうしたデメリットを考える上で完済時と利用中の費用の違いをみることが大切になります。
件数や完済後などでも費用は違う
過バライ金返還の手続きに掛かる費用で違いが出るのは利用中・完済後の違いです。
完済後の過バライ金返還の手続きなら返還された金額にかかる成功報酬のみで済む場合もあり、過バライ金功報酬と呼ばれているものです。
これに対して利用中の場合は依頼時に1社毎に着手金がかかります。
つまり任意整理というケースです。
任意整理は債務整理なので、過バライ金の返還手続きとは違うようにみえますが、残った借金を過バライ金の返還金で相殺できればブラックリストに載るデメリットはありません。
また、着手金の他にかかる費用としては基本報酬があります。
弁護士・司法書士で違いはありますが、1社につき掛かる相場は4万円です。
この費用は業務終了後に掛かってくるお金です。
前者の着手金は過バライ金の返還手続きに入る費用であれば、こちらは終了後に掛かる費用で違いがあります。
着手金と基本報酬に加えて掛かる費用が成功報酬です。
完済後の過バライ金の返還手続きの場合はこの成功報酬のみで済む場合があります。
相場は20%で、弁護士・司法書士事務所ともに、おおむね変わりはありません。
専門家に過バライ金の返還手続きを行うメリットは時間が短縮できること、そして正確な金額が戻ってくる点です。
ただし、デメリットは費用が件数によっては掛かること。
精査してもらい、結果、費用にも満たない過バライ金しか戻ってこないというデメリットもあります。
依頼時はデメリットの大小を天秤にかける
借金が残っている場合、逆に借金をすでに完済している場合では過バライ金の手続きにかかる費用も違ってきます。
また、借金が残っていても、過バライ金の返還で残債の借金を完済できれば債務整理とはならず、ブラックリストに載るといったデメリットを受けることはありません。
過バライ金の返還手続きは借金を返済中でも、完済が終わった後でも可能です。
ただし、借金を返済し終わってから10年という時効があります。
また、同じ借金でも法定利息で借りているケースは過バライ金の対象ではなく、先ほど述べたようにクレジットカードの中でもショッピング枠も対象外です。
キャッシングやカードローンなど貸金業法の契約で借りた借金に過バライ金の可能性があり、それが法定金利を超える利息を払っていた場合です。
専門家に依頼する場合は借金を正確に精査してもらえ、過バライ金の返還もスムーズなことも多くあります。デメリットは費用が掛かる点です。
一方で個人で過バライ金の返還を求めると費用は掛かりません。
ただし、デメリットとして借金を正確に精査できない、時間も掛かります。
時間が掛かるということは、時効が近いケースでは時間切れで返還されないというデメリットも出てきます。
まず調査をしてもらい、過バライ金の額の大小や金融会社の対応でみても良いでしょう。
弁護士や司法書士の中でも借金問題の解決に強いところ、過バライ金返還の実績があるところならば、情報も数多く持ち、手続きもスムーズです。
借金の中身や取引した期間の長さで過バライ金がどれぐらい戻ってくるのか随分、違ってきます。
個人で行うことのデメリット、専門家に依頼することのメリット、過バライ金の手続きをすることで起きるデメリットなど、どんな影響が出るのか確認してから慎重に行うことをおすすめします。
基本的に過バライ金の手続きではブラックリストに載ることはありません。
ブラックリストに載るのは残債があり、それを整理した場合です。
ブラックリストの中身、どのような取引で登録されるのか専門家のアドバイスを受けながら進めると良いでしょう。