返済中の過バライ金請求のデメリットとは?完済後が良い理由




よく弁護士事務所などの宣伝で「過バライ金請求」というワードを見かけると思いますが、返還請求を行うタイミングが返済中か完済後かで大きく変わります。返済中に行うデメリットは何か、完済後にすべき理由を解説していきます。

債務Lady

デメリットその1・返済中の返還請求はブラックリスト化する

完済後に過バライ金の返還請求をするのは問題ありませんが、返済中に過バライ金の返還請求を行った場合、信用情報への影響が懸念されます。俗に言う、「ブラックリストに載る」という状態です。完済後に過バライ金請求を行った際の法的な処理、返済中に過バライ金請求を行った際の法的な処理を併せてみていきましょう。

返済中の過バライ金請求が「信用情報」に与える影響

返済中に過バライ金の返還請求をすることで発生する法的処理とは
完済後に過バライ金を返還請求する上では、信用情報には全く影響はなくデメリットもゼロです。しかし、借金の返済中に過バライ金の返還請求を行うと、法律の区分で言うところの「債務整理」にあたり、これが問題となります。返済中に過バライ金の請求手続きを行い、引き直し計算を行ったあと借金がまだ残る、完済できない場合は「債務整理」として処理されます。

債務整理とは?

債務整理とは、借金の返済中に完済の目処が立たなくなった・困難になった際に行う法的な処置であり、利息制限法に基づいた引き直し計算を行った上で正しい利息の上での返済額を計算し、債権者と交渉をして同意を得て完済計画を立てる法的処理のことです。債務整理を行うことによって各種信用機関へと個人の情報が登録されてしまいます(通称・ブラックリスト化)。ブラックリスト化のデメリットは、最低5〜7年間はクレジットカードの使用やローンを組むことが不可能になることが挙げられます。完済するまでこの制限は解けず、この信用情報はあらゆる金融機関が閲覧して共有します。

信用情報を管理する信用機関について

完済後ではなく返済中に過バライ金の返還請求を行うことによって、債務整理として処理をされ登録されてしまう信用機関は、「全国銀行個人信用情報センター」「株式会社シー・アイ・シー」「株式会社に本信用情報機構」の3つの機関・団体となります。返済中はもとより、完済した後もこの5〜7年間を経過するまでは記載されたままとなります。

完済後はもちろん、返済中でもOKなケース

完済していなくても、相殺できれば返済中でもOK
完済後に過バライ金の返還請求を行えば信用情報には影響がなくデメリットもありません。それに加えて、たとえ返済中であっても条件によっては信用情報に影響がない場合もあります。それは、返済中に過バライ金の返還請求をすることによって行われる引き直し計算をした後、過バライ金の額で借金が相殺されて返済額がゼロになる(完済できる)ケースです。

返済中の借入金が相殺(完済)される流れ

手続きの流れを簡単に見ていくと、返済中(借入中)の過バライ金の返還請求を行った時点で、まず信用情報機関に債務整理として登録されます。しかし、その過バライ金で完済・相殺ができればその債務整理の登録情報がすぐに削除され、法的にきれいな状態を保てるという仕組みです。先述の「返済中に過バライ金の返還請求を行ったらブラックリスト化した」という状態は、登録された直後に完済・相殺しきれなかったため(これを残債と呼びます)、登録情報が抹消されずブラックリスト化されてしまうことにより起こります。当然、金融機関に個人信用情報が共有されて5〜7年間はクレジットカードの使用やローンを組むことは不可能になります。

返済中の過バライ金請求は避けた方が良い

返済中に過バライ金の返還請求を行うことのデメリットの1つ目は、「信用情報に傷がつく・ブラックリスト化すること」、そしてそれにより「クレジットカードの使用・ローンを組むことが一定期間禁止されてしまうこと」にあります。そのため、「返済額が借入額を上回る、完済できる」ということが確信できない限り、過バライ金の返還請求は返済中ではなく完済後に行う方が賢明です。

デメリットその2・カードが自動で解約処理される

返済中の過バライ金の返還請求における最も大きなデメリットが、この「自動的にカードが解約処理される」という点でしょう。ただしこれに関しては返済中はもちろん、完済後であったとしても過バライ金を請求すれば双方ともに発生するデメリットとなっているため要注意です。返済中はもちろん完済後でも免れられないという点を覚えておきましょう。

ショッピング利用では過バライ金の返還請求ができないので注意

クレジットカードの機能・ショッピング枠とキャッシング枠
過バライ金の請求に関して触れる前に、まずクレジットカードの2つの枠に関して解説します。クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠のふたつの機能があります。このうち、ショッピング枠での利用の場合には、たとえ高額の手数料を支払っていたとしても過バライ金は発生しないので注意しましょう。買い物や飲食の際のカード利用は、「借入」ではなくカード会社による「立て替え」という扱いです。ショッピング枠の代金は法律上「立替金」となるため、カード会社に支払った分割手数料は「利息」ではなくあくまで「手数料」となります。過バライ金とは、利息が法的に正しいものであるかを問いただして計算し直すことでその額を算出するものです。そのため、過バライ金が発生する可能性があるのは(返還請求が可能なのは)キャッシング枠での利用のみとなります。

キャッシング枠で過バライ金が発生する理由

では、キャッシング枠での過バライ金請求が可能な理由も解説します。キャッシング枠でカードを利用する場合、利用限度額の範囲内でATMから現金を引き出します。この場合、カードで引き出すお金は「カード会社から借入したお金」となり、銀行や貸金業者などからお金を借りた状態と同じになるため、法律上の上限を超えた利息を支払っていた場合、過バライ金が発生して返還請求が可能となります。
ちなみに法律上の上限とは、利息制限法に基づいた金利額のことであり、15〜20%を超えるものに関してはその対象となります。2007年に制定されてからは、金融機関各社が引き下げを行ったため最近借入した方の場合は過バライ金の発生する確率は低いですが、2007年以前から取引している方は過バライ金が発生する可能性があります。

最大のデメリット・同じ会社のカードを使えない

返済中・完済後関係なく解約・再発行禁止に
過バライ金が発生した場合、返還請求をすれば戻ってくる可能性はあるもののそのカードは使えなくなる可能性が高くなります。これは返済中はもちろんのこと、完済後であっても変わりません。またデメリットはそれだけでなく、そのクレジットカード会社のみならず、同じ系列のグループ会社のカードも作れなくなってしまう可能性が高くなります。
ただ、このデメリットに関しても注釈があり、あくまで可能性という事実も覚えておいてください。この「クレジットカードが利用できなくなる・作れなくなる」という判断は、過払い請求を受けたクレジットカード会社の裁量によるものであり、利用禁止や解約処理を免れることもあります。ただし、多くのカード会社の場合は解約処理や二度と作れなくなる割合が高いため、返済中・完済後関わらずデメリットとして覚悟しておきましょう。

完済後は時効があるため油断は禁物

また返済中の返還請求のデメリットの項目で述べた通り、完済後や返済中でも返済額で相殺できる場合はブラックリスト化(信用情報に載らない)しないため、他の金融機関への影響はありません。そのため、他の金融機関・クレジットカード会社での借入やクレジットカードの作成は問題ありません。
ただ、一点注意しておきたいのは、クレジットカードの過バライ金の返還請求にも時効があるという点です。最後に返済した日から10年で時効が成立するという点は、過バライ金請求に関してのデメリットとは直接関係ないですが、念頭に置いておいてください。返済中での過バライ金請求にデメリットがあるため完済まで待つ間に忘れてしまうことのないようにしましょう。

デメリットその3・返済中の過バライ金請求により他社借入が困難に

完済後ではなく返済中に過バライ金の返還請求をするデメリットとして、他の金融機関・クレジットカード会社の新規借り入れが困難になる点を解説していきます。完済後ではなく返済中に過バライ金を請求したことによってブラックリスト化するデメリット・影響をしっかり覚えておきましょう。

ブラックリスト化していると最低5〜7年間は新規借入が不可

完済後・返済中を問わず、過バライ金の返還請求を行った場合は、カードは解約処理をされ、そのクレジットカード会社でカードを作ることは今後不可能になるというデメリットを前項で触れました。もちろん、他の金融機関・クレジットカード会社であれば借入は可能ですが、これにも条件があります。

返済中の過バライ金請求によって、他の金融機関への新規利用が困難に
完済後ではなく返済中に過バライ金の返還請求を行った場合は、先述の通り法律上では債務整理を行ったことになります。債務整理を行うメリットは引き直し計算による借金額の減額、毎日入る督促や生活のプレッシャーの消滅、返済計画の目処が立つ精神的な安定効果など計り知れないものがあります。しかし、同じようにデメリットもあり、信用情報への掲載、つまりブラックリストが挙げられます。これによるデメリットとして、他の金融機関も信用情報を共有してしまい、借り入れ・ローンを組むことの一切が不可能となります。債務整理の他に、個人再生や自己破産などによる法律上の処理も同じデメリットが発生します。
これらのデメリットを回避する方法としては、先述の通り完済後に過バライ金の返還請求を行う、もしくは返済中でも返還された額によって完済が可能・相殺できるという確実性がある時のみ過バライ金の請求を行うということが望ましいでしょう。完済の可能性が少しでも疑わしい場合は、返済中は過バライ金請求をしない方が無難です。

完済後でなくても、住宅ローンには関与しない

返済中に過バライ金請求をしても住宅ローンには影響なし
返済中のデメリットの例外に関してですが、たとえ返済中であっても信用情報には全く影響しないケースがもうひとつあります。それが、「銀行住宅ローン」です。住宅ローンとカードローン(キャッシング枠)は別契約となり、法律上は全く関与していません。そのため、住宅ローンを返済中である場合にカードローンに関しての過バライ金の請求を行ってもデメリットはゼロです。先述のような、返済中に過バライ金請求中に起こりうるデメリットに関しては、クレジットカードに対しての制約や解約などは発生しますが、住宅ローンに対してのデメリットは発生しないので、完済後でなくても安心して過バライ金の返還請求ができます。

現在返済中で、今後住宅ローンを組む予定がある方は注意

ただし、今後新たに住宅ローンを申し込む機会がある場合は返済中に過バライ金請求を行うとデメリットが発生します。たとえば、返済中に過バライ金を返還請求して、信用情報に債務整理扱いとして処理されてしまった後に、住宅ローンを組もうとすれば当然ながら住宅ローンの会社(大抵は銀行です)が信用情報をチェックしているため、住宅ローンを組むことはできません。今後住宅ローンを組む予定がある方は、焦らず完済してからにするのが確実です。
余談ですが、クレジットカード会社と住宅ローンの会社が同じである場合でも、やはり別契約となるためこのデメリットとは無縁となり、過バライ金請求をするにあたって完済している必要はありません。

デメリットその4・各金融業者のデメリットをチェック

アコム(三菱東京UFJ)、プロミス(三井住友銀行)、レイク、アイフル、エポスといった代表的な金融業者の特徴とデメリットを紹介していきます。過バライ金の発生率やそれぞれの系列会社でのデメリットなどを見ていきましょう。

アコムとプロミスのカードローンの特徴やデメリットについて

アコムでの過バライ金請求について
まず、アコム(三菱東京UFJ)で過バライ金請求をする際に考慮したいデメリットは、マスターカード(ショッピング枠)での利用が残っていた場合(完済していない場合)は、キャッシング枠を完済していても借金が残っている(残債)扱いとなる点です。このデメリットを回避するには、マスターカードのショッピング枠の残債も完済した状態、つまり両枠の完済を果たした後で過バライ金を請求することをおすすめします。また、キャッシュワン(現在はじぶん銀行と改名)でのキャッシングを併用している場合、アコム側で(返済中・完済後どちらも)過バライ金を請求しても影響はありません。しかし、キャッシュワンでのキャッシングは過バライ金の対象外のため注意しましょう。三菱UFJのバンクイックを併用している方は、バンクイックを完済していなくても構いませんが延滞があるとアコム側にデメリットが発生するため、そちらも注意してください。

プロミスでの過バライ金請求について
プロミス(三井住友銀行)にも、過バライ金の請求ができる可能性があります。特に三洋信販を利用していた場合、金利が29.2%であったためプロミスへと過バライ金の請求が可能です。三井住友銀行カードローンには保証会社としてプロミスがついており、同じく完済後の過バライ金の請求であればデメリットは全くありません。ただし、三井住友銀行カードローン側の取引で延滞があったりする場合は、プロミス過バライ金請求に対してデメリットの元となるため注意が必要です。

レイク・アイフル・エポスの特徴とデメリット

レイクでの過バライ金請求について
レイクは改名が多く、過バライ金の対象となる業者がいくつも存在します。コーエークレジット、GEコンシューマーファイナンス、新生フィナンシャル、新生銀行はいずれもレイクに過バライ金の請求が可能です。ただし、新生銀行は法定内の金利で規約されているため、過バライ金の対象ではありません。他の三社に至ってはレイクと名前が異なるため見過ごしがちですが、時効デメリットがあるため見逃さないようにしましょう。レイクは請求先がややこしいという点を除いては、さほど大きなデメリットがありません。

アイフルでの過バライ金請求について
アイフルは、過バライ金に関しての対応が悪いというデメリットがあります。銀行などの資本バックがない点が会社のデメリットを発生させており、過バライ金の返還額も他社と比べ少ない(4割程度)点もデメリットと言えます。他にも企業が難色を示すため裁判が長引くというデメリットや、常に倒産の可能性が噂されるなど大きなデメリットをはらんでいます。

エポスでの過バライ金請求について
エポスは、弁護士など専門家への過バライ金請求の相談が最も多い業者として有名です。簡単にお金が借りられるショッピング枠の利用で、つい限度額に到達していたというケースが非常に多いです。リボ払いによるポイントなどで利用を勧められますが、返済・完済が厳しくなるデメリットつきなので注意しましょう。

完済後ではなく返済中に過バライ金の請求を行うデメリットは、信用情報に影響がある、同じクレジットカード会社を利用できなくなる、他社の新規利用にも影響があるという点です。返済中でも、過バライ金の返済額で完済・相殺できれば問題ありませんが、計算上の過バライ金が100%返還されることはほとんどないため、債務整理デメリットに引っかかる危険性が大きいです。可能な限り完済後に実施するようにして、返済中の場合は上記デメリットを覚悟した上で実行するようにしましょう。また、過バライ金のデメリットで触れた、時効期間に関しても念頭に置いておきましょう。

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